「静かな退職」という言葉を、つい先日まで知りませんでした。
先に、記事のほうを書いてしまっていたんです。
資産が増えたら仕事のやる気が落ちた、という話を先月書きました。怠けではなく仕組みの問題だ、と自分なりに整理して、それで納得していました。
そのあとで、この言葉を見つけました。
やりがいや昇進を求めず、決められた仕事を淡々とこなす。辞めはしない。ただ、それ以上のことはしない。
私が書いた状態に、すでに名前がついていた。
しかも、私だけの話ではありませんでした。

正社員の46.7%が、そうだった
マイナビが毎年やっている調査があります。「正社員の静かな退職に関する調査」で、最新版が2026年4月に出ました。
46.7%。
正社員の半分近くが、自分は静かな退職をしていると答えています。前の年より2.2ポイント増えました。
年代別の数字も出ています。

※マイナビ「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」より。2025年11月に、20〜59歳の正社員3,000人を対象に実施。
若い人の話だと思っていました。
たしかに20代がいちばん高い。ところが40代でいったんへこんで、そこからまた上がる形になっています。この折れ方のほうが、私には引っかかりました。
いったん収まって、また戻ってくる。
理由は違うのだろうと思います。20代の「これは違うかもしれない」と、その先の「もう分かってしまった」は、たぶん別のものです。前者はまだ選び直す時間があって言えることで、後者は選び直さないと決めたあとの静けさに近い。同じ調査票に同じ丸をつけていても、その裏側で起きていることは、ずいぶん違うのではないかと思います。
7割が「このまま続けたい」と答えている
いちばん驚いたのは、こちらの数字でした。
静かな退職をしている人のうち、73.7%が「今後も続けたい」と答えています。前の年は70.4%だったので、ここも増えました。
うち「ずっと続けたい」が28.8%。一時的にそうなっているのではなく、その状態でいることを選んでいる人が、それだけいるということです。
我慢して耐えている状態を想像していました。数字を見るかぎり、そうでもないらしい。

会社の4割が「賛成」していた
同じ調査は、企業の中途採用担当者にも聞いています。
静かな退職に賛成が42.2%、反対が30.1%。賛成のほうが多い。しかも前の年より3.3ポイント増えています。
「決められたことをきっちりこなせる社員も必要」という見方だそうです。
これは分かる気がします。全員が上を目指して手を挙げる職場を、私は経験したことがありません。淡々と回してくれる人がいるから、組織は回ります。
余談ですが、この言葉をはじめて見たとき、私は退職金の話かと思って開きました。退職と書いてあるなら金額の話だろう、と。まったく違いました。
きっかけの4分類に、私は入らなかった
この調査は、静かな退職をしているきっかけをタイプ分けしています。
- 無関心タイプ 20.6%
- 損得重視タイプ 18.8%
- 評価不満タイプ 17.0%
- 不一致タイプ 16.0%
自分がどれに当たるか考えてみました。
仕事に無関心ではありません。損得だけで動いているつもりもない。評価に不満があるかというと、そこまでの思い入れがそもそもない。やりたいことと違う、と感じているわけでもない。
どれも、しっくり来ませんでした。
代わりに思い当たったのは、もっと身も蓋もない事情です。
終わりの日が決まっている
私は、定年を待たずに辞めるつもりでいます。

辞める時期を決めてから、仕事の見え方が変わりました。今の仕事は、どこかへ向かう道ではなく、終わりのある区間になった。
昇進したいかと聞かれれば、そこまでの熱はありません。ただ、昇進できるかどうかで退職金と年金の額が変わるので、上がれるものなら上がりたい。
やりがいのためではなく、出口の金額のために働いている。
書いてみると、なかなかひどい話です。
それでも、これが今の私の実感でした。
静かな退職とFIRE準備の、違うところ
ここまで並べてきて思ったのは、自分の状態は静かな退職とほとんど区別がつかない、ということでした。
外から見れば同じです。淡々とこなす。手は挙げない。気の進まない席は断る。
違いがあるとすれば、たぶん一点だけです。
静かな退職には、終わりの日がありません。
そのまま定年まで続きます。20代でこの状態に入った人は、30年以上その形で働くことになる。50代の46.7%という数字は、あと10年前後を静かに過ごす人がそれだけいるという意味でもあります。
私のほうには、日付がある。同じ「淡々と働く」でも、カウントダウンがあるかどうかで中身は変わるのではないか、と考えています。
もっとも、その日付は自分で動かせてしまいます。「あと1年だけ働けば」症候群の話を自分で書いているので、あまり偉そうなことは言えません。
手を抜いているかどうかは、自分では見えない
気になっているのは、こちらのほうです。
先月の記事で、やる気が落ちてから仕事の質はむしろ上がった気がする、と書きました。焦らなくなった、分かりませんと言えるようになった、と。
あれは本当のことです。ただ、そう思っているのは自分だけかもしれない。
手を抜いた人が「効率的になった」と感じるのと、本当に無駄が減った人が同じことを感じるのとで、内側からの見え方はたぶん変わりません。区別する手がかりが自分の中にない。
ここは考えても答えが出ませんでした。なので、年に一度くらいは点検することにします。
去年の自分と比べて、断った仕事が増えていないか。「それは私の担当ではありません」と言った回数が増えていないか。辞める日が決まっていることを、今日サボる理由に使っていないか。
3つ目がいちばん危ないと思っています。
まとめ
- 「静かな退職」は、やりがいや昇進を求めず、決められた仕事を淡々とこなす働き方
- マイナビの調査では正社員の46.7%が該当。前の年より2.2ポイント増えた
- そのうち73.7%が「今後も続けたい」と答えている
- 企業側も42.2%が賛成で、反対の30.1%を上回った
- FIRE準備との違いは、たぶん終わりの日があるかどうかだけ
やる気が落ちたときに、それを説明する言葉があるのは悪くありません。自分だけがおかしくなったわけではないと分かるので。
ただ、言葉が見つかると安心してしまう、という副作用もあります。
46.7%という数字は、「みんなそうだから」と使うこともできてしまう。
そこには寄りかからないでおこうと思います。今日のところは。
辞めたあとに何をするかは1週間の予定表まで作ってあるので、そちらの準備のほうを進めます。時間は取り戻せないと書いた手前、残りの年数も同じ扱いにしないと筋が通りません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
出典
- マイナビ「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」(2026年4月13日公表)

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