買値が効いている銘柄です。今の利回りは3.90%ですが、私の簿価利回りは8.50%あります。
JAC Recruitment(証券コード:2124)。ハイクラス向けの人材紹介をやっている会社です。
平均取得単価は447円。今期の配当予想が38円なので、8.50%という計算です。株価は975円で、買値の2.2倍になりました。
ただ、この銘柄には人に勧めにくい事情があります。
景気にそのまま反応する商売で、実際に一度、配当を減らしています。
その話も含めて書きます。

基本データ
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 証券コード | 2124 |
| 企業名 | 株式会社ジェイエイシーリクルートメント |
| 業種 | サービス業(ハイクラス向けの人材紹介) |
| 株価 | 975円 |
| 時価総額 | 約1,614億円 |
| 配当利回り(予想) | 3.90%(38円) |
| PER(会社予想) | 18.02倍 |
| PBR(実績) | 7.10倍 |
| EPS(予想) | 54.12円 |
| BPS(実績) | 137.28円 |
| 自己資本比率 | 72.7% |
| 決算期 | 12月 |
| 私の平均取得単価 | 447円(簿価利回り8.50%) |
株価・配当・EPS・BPSは、2024年1月の株式分割のあとの数字にそろえています。
売上の9割が、国内の人材紹介
事業の中身は、驚くほどシンプルでした。
| セグメント | 売上比率 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 国内人材紹介事業 | 90% | 管理職・専門職の転職支援。企業から成功報酬を受け取る |
| 海外事業 | 9% | アジアや欧州での人材紹介 |
| 国内求人広告事業 | 1% | 求人広告の掲載 |
※2025年12月期の売上高ベース。
ほぼ一本足です。しかも転職が決まったときにだけ報酬が入る成功報酬型なので、企業が採用を止めれば売上も止まります。
在庫も設備もいらない商売なので、営業利益率は23%前後。自己資本比率は72.7%で、有利子負債はほぼありません。身軽な分、景気の波はそのまま業績に出ます。
配当は10年で5倍。ただし一度、減っている

2016年12月期の7.5円から、2026年12月期予想の38円へ。10年で5.07倍です。
保有株のなかでも、これだけの伸びは多くありません。
ただ、グラフの真ん中を見てください。
2021年12月期に、20円が18.25円へ減りました。
前の年、2020年12月期はコロナで採用が止まった年です。EPSが26.66円から11.18円へ半減以下になりました。それでもその年は20円を据え置いています。配当性向は180%。利益の倍近くを配ったことになります。
そして翌期に、少しだけ減らした。
この1.75円の減配を、私はむしろ良心的だと受け止めています。無理に維持し続けて財務を痛めるより、一度下げて立て直したほうが長く続く。実際、そこからは5期連続で増やしています。
還元方針は、2026年から変わった
| 方針 | 内容 |
|---|---|
| 配当性向 65%以上(2026年12月期から) | 変更前は「60〜65%を目途」。上限を外して下限に変えた |
| 中間配当の導入(2026年12月期から) | 年1回だった配当が年2回に。中間19円・期末19円の予定 |
| 安定的に増配基調を維持 | 利益成長にあわせて増やす、という考え方 |
会社の説明によれば、変更の理由は2期連続で上限を超える配当性向になっていたからでした。
2024年12月期が73.8%、2025年12月期が68.5%。方針の上限65%を超えて配っていたので、方針のほうを実態に合わせた形です。
配当性向65%以上というのは、高配当株のなかでもかなり高い水準です。稲畑産業のDOE4〜4.5%のような資本基準ではないので、利益が落ちれば配当も落ちる点は、はっきりさせておく必要があります。

売上は10年で3.3倍。利益率は23%で安定

売上は138億円から532億円(今期予想)へ、10年で3.3倍。きれいな右肩上がりです。
下の折れ線を見ると、営業利益率は34%から23%台まで下がって、そこで落ち着いています。売上を伸ばすためにコンサルタントを増やしてきた分、利益率は薄くなった。それでも23%は十分に高い水準です。
2020年12月期だけ、売上が216億円まで落ちています。コロナの年です。

ROEは今期予想39.42%。合格ラインとされる8%の、およそ5倍です。
設備を持たない商売で、自己資本比率が72.7%もあってこのROEというのは、かなり効率のいい会社だと思います。ここでも2020年12月期だけ12.90%まで落ちていて、この事業の振れ幅がよく分かります。
EPSは10年で2.7倍。配当性向は70%台

EPSは20.26円から54.12円(今期予想)へ、10年で2.7倍。
配当が5.07倍なので、利益の伸び以上に配当を増やしてきたことになります。その結果が配当性向70%台です。
2020年12月期の180%が突出しています。利益が落ちても配当を維持した年で、この1本だけグラフが跳ね上がっている。
70%台という水準は、余裕があるとは言えません。利益がもう一段落ちれば、配当も落ちます。
直近の決算は、増収増益だった
2026年8月12日に、2026年12月期の第2四半期決算が発表されました。
売上高258億円(前年同期比11.0%増)、営業利益71億円(同13.9%増)、当期純利益48億円(同14.4%増)。通期予想に対する進捗率は56.7%で、上ぶれのペースです。
会社は2026年から2028年にかけて、年15%程度の成長を目指すと説明しています。
447円が975円になった

この10年の値動きです。
2016年から2019年までは300〜600円台。2020年にコロナで240円台まで急落しています。売上が落ちた年なので、株価もそのとおりに反応しました。
そこからは戻して、2025年に1,000円を超えています。今年に入って850円前後まで下げたあと、8月にいったん1,000円台まで戻し、今は975円です。
上下の振れが大きい銘柄です。NTTのように150円から170円を往復するのとは、まったく性格が違います。
配当利回りの推移と、今の位置

現在の利回りは3.90%です。過去10年の平均は3.37%なので、平均を上回っています。
株価が2.2倍になったのに利回りが下がっていないのは、配当がそれ以上に増えたからです。10年で株価3.0倍に対し、配当は5.07倍。
いちばん高かったのは2020年末の4.23%でした。コロナで株価が売られ、それでも配当を据え置いた年です。あのとき買えていれば、という話ではありますが。
私がこの株を持ち続ける理由
簿価利回り8.50%が、ほかにないから
447円で買って、今期は38円を受け取ります。8.50%です。
今の株価975円で買うと3.90%。同じ利回りを作り直すには、株価が450円まで戻る必要があります。売った瞬間に手が届かなくなる数字です。
減配を一度経験しているから
この理由はコマツの記事でも書きました。
2021年に減配された銘柄なので、期待の上限が最初から低い。「この会社は利益が落ちれば配当も落とす」と分かったうえで持っているので、次に減配が来ても慌てずに済みます。
景気敏感な銘柄も、ポートフォリオには必要だから
配当で生活する計画を立てていると、どうしてもディフェンシブな銘柄に寄っていきます。NTT、電力、通信。
ただ、それだけだと配当を月20万円まで増やすスピードが出ません。景気敏感な銘柄が伸びる局面で配当も伸びる、という枠も要る。JACはその役割です。
リスクと注意点
- 景気敏感の度合いが強い。売上の9割が成功報酬型の人材紹介で、企業が採用を止めれば直撃します。2020年12月期はEPSが半減以下になりました
- 減配の実績がある。2021年12月期に20円→18.25円。累進配当ではありません
- 配当性向が70%台。利益が落ちたときの余裕は大きくありません
- PBR7.10倍。2009年以降のレンジ(0.39〜8.52倍)の上限に近い水準です
- 12月決算。3月決算の銘柄とは決算の時期がずれるので、配当の入金月も違います
売らない。でも、買い増しは慎重に
簿価利回り8.50%を手放す理由はないので、売りません。
買い増しについては、少し慎重になります。今の利回り3.90%は悪くありませんが、PBR7.10倍という水準と、景気が悪くなったときの落ち方を考えると、まとめて買う気にはなりません。
むしろ次に採用市場が冷え込んで株価が売られたときが、この銘柄の買い場だと思っています。2020年末に利回り4.23%まで上がったような局面です。
そのときに買えるかどうかは、また別の話ですが。震災で狼狽売りした話を書いた人間なので、自信はありません。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 私の簿価利回り(8.50%) | ◎(今の利回り3.90%の2倍以上) |
| 現在の利回り(3.90%) | ○(過去10年平均3.37%を上回る) |
| 配当実績(10年で5.07倍) | ○(ただし21/12期に減配) |
| 還元方針(配当性向65%以上・中間配当を導入) | ○(利益連動なので下振れもある) |
| 収益力(営業利益率23%台・ROE39.42%予想) | ◎ |
| 財務(自己資本比率72.7%・実質無借金) | ◎ |
| 株価水準(PER18.02倍・PBR7.10倍) | ×(PBRはレンジ上限に近い) |
| ポートフォリオでの役割 | 景気敏感の攻めの枠。買値が効いている |
簿価利回り8.50%という数字だけ見れば、十分に優秀です。
ただ、その数字は採用市場が冷えていた時期に買えたからであって、会社が特別だったからではありません。同じことを再現するには、また景気が悪くなるのを待つ必要があります。
高配当株の記事を書いていると、どうしても「安定した会社」を紹介したくなります。この銘柄はその逆で、波の大きい商売です。それでもポートフォリオに1本あると、上げ相場で配当がよく伸びる。そういう役割の株もあっていいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
・本記事の株価・指標・業績・配当の数字は、2026年9月4日時点のものです。株価は同日の終値、業績と配当は直近の決算実績と会社予想に基づいています。
・2024年1月1日に1株を4株とする株式分割が行われています。記事中の株価・1株配当・EPS・BPSは、過去の分もすべて分割後に換算した数字です。
・この会社は12月決算です。ほかの記事の3月決算銘柄と期のずれがあります。直近の四半期決算は2026年8月12日に発表済みで、次回は11月中旬の予定です。最新の数字は必ずご自身でご確認ください。
・2021年12月期に配当を20円から18.25円へ減らした実績があります。累進配当を掲げている会社ではありません。配当性向65%以上は会社の方針であり、将来の配当を保証するものではありません。
・売上の9割が国内の人材紹介で、業績は企業の採用意欲に直結します。景気が悪くなると真っ先に影響が出る事業です。
・PBR7.10倍は2009年以降のレンジ(0.39〜8.52倍)の上限に近い水準です。過去と比べて割安ではありません。
・本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。私自身の保有銘柄について、投資判断の記録として書いたものです。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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