【FIRE準備コラム】資産6,271万円で、仕事のやる気が落ちた。怠けではなく仕組みだった話

FIRE準備コラムNo.20 金融所得と国民健康保険料の関係 FIRE準備

最近、朝がしんどいんです。

仕事が嫌になったわけではありません。職場の人間関係も、特別こじれてはいない。それなのに、以前ほど身体が前に出ない。

怠けているのだろうと思っていました。

ただ、それだと説明がつかないことがあります。

仕事の量も、人間関係も、去年と大きくは変わっていません。変わったのは、通帳の数字のほうでした。

もしかして、これは怠けではなく、順番として起きることなのではないか。

そう思って自分の数字を並べてみたら、笑えなくなりました。

朝の駅を歩く通勤者のシルエット
Photo by Peter Holmboe on Pexels

私は今、ちょうどその段階にいるらしい

2026年7月末の総資産は6,271万円でした。

野村総合研究所は、世帯の純金融資産で階層を5つに分けています。よく聞く「富裕層」という言葉には、はっきりした線が引かれています。

階層純金融資産
超富裕層5億円以上
富裕層1億円以上〜5億円未満
準富裕層5,000万円以上〜1億円未満
アッパーマス層3,000万円以上〜5,000万円未満
マス層3,000万円未満

※野村総合研究所の分類による。純金融資産は、世帯の金融資産から負債を引いたもの。

私がいるのは準富裕層です。富裕層ではありません。ここを間違えている記事や動画をよく見かけるので、念のため書いておきます。5,000万円を超えても、富裕層には届いていない。

それでも、目標の1億円に対して62.7%まで来ました。

そして、やる気が落ちてきたのは、まさにこのあたりからです。

数字を並べると、理屈は合ってしまう

株式市場のチャートが並ぶレポート
Photo by RDNE Stock project on Pexels

国税庁の民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤めた給与所得者の平均給与は478万円です(令和6年分)。過去最高だそうです。

この478万円を得るために、多くの人が年間2,000時間ほどを職場に置いてきます。

いっぽうで、私の6,271万円は、私が寝ているあいだも動いています。

1%動けば62万円。2%動けば125万円です。相場が荒れた日には、1日で数十万円が行ったり来たりします。何もしていないのに、です。

この2つを並べて平気でいるのは、なかなか難しい。

会議の資料を何度も直して、根回しをして、ようやく通ったとします。その苦労が給与に反映されるのは、早くても翌年度で、金額にすれば月に数千円かもしれません。その数千円を、朝の相場が1分で作ってしまう日がある。

脳は、それを見てしまうんですよね。

やる気が落ちるのは、計算ができるようになったからだ——という説明には、残念ながら筋が通っています。

怠けたのではなく、動機が入れ替わった

心理学に、自己決定理論という考え方があります。

人が動く理由を、大きく2つに分けるものです。

  • 外発的動機づけ…お金や評価など、外から与えられるもの
  • 内発的動機づけ…面白い、やりたい、という内側から出るもの

会社員や公務員が毎朝出かけていく力の大半は、前者です。

生活費を稼がなければならない。住むところを維持しなければならない。この「〜しなければならない」が、いちばん強いエンジンでした。少なくとも私はそうでした。

ところが、資産が積み上がると、この「しなければならない」が静かに弱まります。

エンジンを止めたつもりはないのに、勝手に出力が落ちる。やる気がなくなったのではなく、やる気の燃料が減ったという感覚のほうが、私の実感には近いです。

そして厄介なことに、代わりの燃料である内発的動機づけは、勝手には湧いてきません。

見えるようになったのは、失っているもののほう

木製のテーブルに置かれた砂時計
Photo by Creative Cen on Pexels

もうひとつ、変わったことがあります。

資産が少なかったころ、私が見ていたのはもらえる給料でした。今は差し出している時間のほうが見えます。

同じ1日なのに、見ている面が裏返ったんです。

意味の分からない資料を作っている時間。誰も読まない議事録を整えている時間。そういうものに、以前は腹が立ちませんでした。仕事だから、で済んでいた。

今は「これに何時間使ったんだろう」と考えてしまいます。

お金は取り戻せるが、時間は取り戻せないと書きました。健康資産についても書きました。どちらも、資産が増えたからこそ書けた記事だったのだと、いま気づきます。

お金の心配が薄れると、次に数えたくなるのは残り時間なんですね。

それでも、私はまだ辞めません

ここまで書いておいて何ですが、明日辞めるつもりはありません。

理由は単純で、数字が足りていないからです。

項目いま目標進捗
総資産6,271万円1億円62.7%
配当(手取り)月7.6万円月20万円38.2%

※2026年7月末時点。配当は直近12か月の平均。

資産のほうは6割を超えましたが、配当はまだ4割にも届いていません。生活費を配当でまかなうという設計から見ると、まだ折り返してすらいない。

それに、退職金の計算も残っています。

あと少し勤めるかどうかで、受け取れる金額はそれなりに変わります。ここで投げ出すのは、いちばん高い買い物になりかねません。

やる気が落ちたことと、辞めるべきかどうかは、別の話です。

やる気が落ちて、かえって良くなったこと

陽の差す窓辺に置かれたコーヒーカップ
Photo by Nida Kurt on Pexels

意外だったのは、ここからです。

やる気が落ちてから、仕事の質はむしろ上がった気がしています。

まず、飲み会を断れるようになりました。

以前は、気の進まない席にも顔を出していました。断って角が立つのが怖かったからです。今は「今日はやめておきます」と言えます。言ったところで、何も起きませんでした。

浮いた時間と会費は、そのまま自分のものになります。

次に、焦らなくなりました。

慌てて出した資料には、たいていミスが混ざります。追い詰められている感覚が薄れたぶん、確認する余裕ができました。

そして、「分かりません」と言えるようになりました。

以前は、その場で分かったふりをして、あとから慌てて調べていました。知らないと思われるのが嫌だったからです。今は先に聞いてしまうので、手戻りが減りました。

品のいい話ではありませんが、いつでも辞められるという前提が、この気楽さを作っているのは確かだと思います。

給料が生命線ではなくなると、仕事は義務から選択に変わる。

その選択で今日も職場にいる、と思えた日は、朝が少しだけ軽いです。

やる気が落ちたら、数えるものを変える

まとめます。

  • 資産が増えると働く動機が弱まるのは、意志の弱さではなく仕組みの問題
  • ただし「やる気が落ちた」と「辞めるべき」はつながっていない
  • 私は資産62.7%、配当38.2%。まだ辞めない
  • いつでも辞められる状態は、辞めなくても効く

やる気が消えたと感じたら、私は数えるものを変えることにしています。

給料と資産を比べると、勝ち目がありません。比べる相手を、去年の自分の配当額にする。月7.6万円が、来年いくらになっているか。そこだけを見ていれば、朝の憂鬱はいくらか薄まります。

資産が増えて働く気力が落ちるのは、たぶん順調な証拠です。

ただ、それを言い訳にして手を抜くかどうかは、また別に選べます。私はまだ、選べる側にいたいと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました