【FIRE準備コラム】タイムバケットを作ってみた。やりたいことに「締め切り」をつける

FIRE準備

1億円までの資産計画は、それなりの精度で作ってきました。配当の設計図もあるし、毎月の進捗も測っている。我ながらよくやっていると思っていたのですが、最近になって大きな抜けに気づきました。

「いつ、何をやるか」の計画が、まるっきり白紙だったんです。

海外でゴルフ。全都道府県を回る旅。憧れのコースの会員権。やりたいことのリストはあるのに、それを人生のどこに置くかを決めていない。今回は『DIE WITH ZERO』という本で知られる「タイムバケット」という道具を使って、この宿題を片づけます。

夕暮れの湖と桟橋
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タイムバケットとは:やりたいことに「締め切り」をつける

タイムバケットは、人生をいくつかの期間(バケツ)に区切り、やりたいことをどのバケツに入れるか決めていく方法です。ただのスケジュール表と違うのは、その根っこにある考え方です。

経験には、賞味期限がある。

体力を使う旅は、いつかできなくなります。ゴルフで飛距離を求められる年数にも限りがある。お金はあとからでも稼げますが、「それを楽しめる体」のほうは待ってくれません。だからやりたいことは「いつかやる」ではなく、賞味期限の早い順に前のバケツへ入れる。1億円を貯める計画より、こっちのほうが実は締め切りにシビアなんですよね。

残り時間を数えてみた。元気に動けるのは、あと18年

「賞味期限」と言われても、正直ピンときませんでした。そこで、公的なデータで数えてみることにしました。

55歳でFIREしたあとに残る時間(健康寿命と平均寿命)

厚生労働省によると、男性の健康寿命は72.57歳(2022年)。日常生活に制限なく過ごせる期間のことです。一方、平均寿命は81.35歳(2025年)。この差、約9年が「制限のある期間」ということになります。

私が55歳でFIREするとして、健康寿命まではおよそ18年。元気に動ける時間は、思っていたより短いというのが率直な感想でした。18年は長いようで、ゴルフのシーズンに換算すれば18回。海外のコースを回れるチャンスも、会員権を買って通える年数も、その中に収まってしまいます。

もちろん平均の話なので、私がそのとおりになるとは限りません。健康資産の記事に書いたとおり、ここを伸ばす努力はしているつもりです。それでも、「いつかやる」と言っている間に18年が減っていくことに変わりはありません。

資産1億円の計画は、途中で相場が下がっても取り返せます。でも18年のほうは、取り返しがききません。タイムバケットが必要だと思ったのは、この非対称に気づいたからです。

作り方は、たった3ステップ

やってみると、思ったより簡単でした。ノートとペン、それに1時間もあれば十分です。

ステップ① やりたいことを、順番を気にせず全部書き出す

大きい小さいも、実現できるかどうかも、いったん無視して並べます。ここで意外だったのは、手が止まったことです。「FIREしたい」とはあれだけ考えてきたのに、「FIREして何をしたいか」は10個も出てきませんでした。目標にしていたのは自由な時間で、その中身は空欄だったわけです。少し反省しました。

ステップ② それぞれに「賞味期限」を書く

次に、ひとつずつ「これは何歳までなら楽しめるか」を書き込みます。判断の材料は3つ。体力(歩けるか、振れるか)、同行者(一緒に行きたい人が元気なうちか)、そしてお金(その時期に払えるか)です。

この作業で、優先順位がかなり入れ替わりました。「全都道府県を回る旅」は、時間はかかるけれど体力の要求は低い。逆に「海外でゴルフ」や「憧れコースの会員権」は、元気なうちでないと意味がない。お金の順番ではなく、体の順番で並べ直したという感覚です。

ステップ③ 4つのバケツに落とす。迷ったら早いほうへ

あとは期間に割り振るだけです。ルールはひとつだけ決めました。迷ったら、早いバケツに入れる。後ろに送るのはいつでもできますが、前に戻すのはできませんから。

私のタイムバケットを公開します

私のタイムバケット(FIREを基準にした4つのフェーズと、やりたいこと)

年齢ではなく、「FIREを基準にした4つのフェーズ」で区切りました。①助走の数年、②FIREまでのラストスパート、③FIREして最初の5年、④その先の仕上げ。それぞれのバケツの中身は、図のとおりです。

②の最後に「そして、退職届」と書きました。あと1年症候群の記事で書いた「辞める条件」を、バケツの中身としても固定してしまう。こうして何度も書いておけば、その日に迷いにくくなるはずです。

作ってみて分かった、3つのこと

発見① ゴルフの大物は、ぜんぶ前半に集まった

ゴルフスイングをする人
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海外でゴルフ、憧れの会員権、ハンディ11(Aクラス)への挑戦。振り分けてみると、ゴルフの大きな夢はすべて②と③、つまりFIREをまたぐ前後の数年に集中しました。理由は単純で、どれも体力と気力が要るからです。

これは大事な発見でした。使えない病の記事で「FIRE直後こそお金を使うのが怖い時期」と書きましたが、タイムバケットは逆のことを言っています。FIRE直後の5年は、人生でいちばん贅沢していい時期。自由な時間と、まだ十分な体力の両方が揃う、最初で最後の期間だからです。

発見② 後半のバケツは、意外と静かでいい

④のバケツには、定期検診、寄付、エンディングノートと、静かな項目が並びました。最初は「少なすぎるかな」と思いましたが、むしろこれが正解なのだと思います。派手な経験は前半で使い切り、後半は穏やかに暮らす。お金の使いどきが人生の前半に寄っていることを、バケツは教えてくれます。取り崩しを怖がって我慢し続けると、使いどきそのものを逃す。使えない病への、もうひとつの処方箋です。

発見③ 「いつかやる」は全部、最初のバケツに入れたくなる

作業中、何度も手が止まりました。どれもこれも「早めのバケツ」に入れたくなるんです。でも全部を前に詰めたら、それはもうバケツではなく、ただの欲張りリストですね。泣く泣く④に送った項目もあります。「後回しにする勇気」も、この道具の効能なのかもしれません。

経験にも「配当」がある

『DIE WITH ZERO』でいちばん膝を打ったのが、「記憶の配当」という考え方でした。

楽しかった経験は、その場で終わりません。あとから思い出すたびに、写真を見返すたびに、誰かに話すたびに、もう一度うれしくなる。著者はこれを「経験が生む配当」と呼んでいます。

高配当株をやっている身としては、これほど分かりやすい説明はありません。株を早く買えば、配当を受け取る期間が長くなる。同じように、経験も早く買うほど、思い出という配当を長く受け取れる累進配当の記事で書いた「時間が味方になる」構造が、そのまま人生の使い方にも当てはまるわけです。

そう考えると、70歳で初めて海外のコースに立つのと、58歳で立つのとでは、同じ1回でも受け取れる配当の総量がまるで違います。お金を減らさないことばかり考えていましたが、経験を後回しにするのは、配当を捨てているのと同じかもしれません。

ご褒美リストとの使い分け

FIRE準備コラム No.6で書いた「マイルストーンご褒美」と似ているようで、役割は違います。

マイルストーンご褒美タイムバケット
区切り資産額(5,000万円で◯◯)時間(この5年で◯◯)
目的貯める過程を楽しむ使う時期を逃さない
答える問いいくら貯めたら買う?いつまでにやる?

資産の軸と時間の軸、2枚の地図を重ねて持つ。お金が貯まるのが早ければご褒美が前倒しになり、貯まりが遅くても、賞味期限の近い経験はバケツが優先してくれる。二本立てにすることで、「貯まるまで全部お預け」という息苦しさから抜け出せます。

まとめ:貯める計画と同じ精度で、使う時期を計画する

夜明けの道
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  • 経験には賞味期限がある。体力が要るものほど、前のバケツへ
  • FIRE直後の5年は「いちばん贅沢していい時期」。ここで使うために貯めている
  • 後半のバケツが静かなのは正解。使いどきは人生の前半に寄っている
  • 元気に動けるのは55歳から約18年。1億円の計画より締め切りは厳しい
  • 資産軸のご褒美リストと、時間軸のタイムバケット。地図は2枚持つ
  • 経験も早く買うほど「記憶の配当」を長く受け取れる

このバケツの中身は、これからも入れ替わっていくと思います。それでいい。大事なのは「いつかやりたい」を「この期間にやる」に変えておくことです。締め切りのある夢だけが、実行されますから。資産公開と同じように、バケツの中身の答え合わせも、いつかこのブログでやるつもりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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