【FIRE準備コラム】お金は取り戻せる。時間は取り戻せない

早期退職 準備コラム No.18 FIRE準備

資産形成をしていると、いつのまにか「増やす」ことばかり考えるようになります。

今月はいくら増えた。配当は前年比で何%伸びた。数字が積み上がるのは、単純に楽しいんですよね。

ただ最近、その裏側でずっと減り続けているものがあることに気づきました。

残り時間です。

夕暮れの光を受ける砂時計
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資産は複利で増えますが、時間は複利で減っていきます。

今回はお金の話をいったん脇に置いて、この減っていくほうの資産について書きます。

健康なうちに使える時間は、思ったより短い

まず、身も蓋もない数字から見てください。

退職年齢別の健康なうちに自由に使える年数(55歳17.6年・60歳12.6年・65歳7.6年)

厚生労働省が発表している男性の健康寿命は72.57歳(2022年)です。

平均寿命(81.09歳・2024年)ではありません。介護や制限なしで、自分の足で自由に動ける年齢の平均のほうです。

これを基準にすると、退職年齢によって「元気なうちの自由時間」はこれだけ変わります。

55歳で辞めれば17.6年。60歳なら12.6年。65歳の定年まで働くと、残りは7.6年しかありません。

10年長く働くと、失われるのは10年ではないんです。

自由な時間の3分の2が消える。ここが、私が55歳という年齢にこだわる理由です。

お金は取り戻せる。時間は取り戻せない

白いテーブルに置かれた2つの砂時計
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投資をしていると、たまに大きく資産が減る日があります。1日で100万円以上動くこともある。

正直、ぞっとします。

でも、そこで自分に言い聞かせているのは「これは取り戻せる」ということです。相場が戻れば資産も戻る。実際に何度も戻ってきました。

一方で、使ってしまった1日は、二度と戻ってきません

相場と違って、時間には反発も回復もない。「今日は下がったけど、明日3日ぶん取り返そう」ができないんですよね。

資産は減っても戻る。時間は減ったら終わり。

この非対称性に気づいてから、判断の順番が変わりました。お金で買えるなら買う。時間を差し出して節約するのは、たいてい割に合いません。

ゴルフで実感する、時間の締め切り

朝のゴルフコース
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この感覚がいちばんはっきり出るのが、ゴルフです。

いま年52ラウンド回っています。では、体が元気に動くうちに、あと何回コースに出られるのか。

さきほどの55歳から健康寿命までの17.6年で数えると、週1ペースでおよそ900ラウンドという計算になります。

もちろん、その日が来るまでの数年ぶんも残っています。それでも、数えられてしまう程度の数だということは変わりません。

900と聞くと多そうですよね。

でも1年ごとに52回ずつ確実に減っていく持ち球です。しかも70歳を過ぎれば、いまと同じようには回れないでしょうから、実質的にはもっと少ないはずです。

Aクラスを目指す記事で「FIREの日までに」と期限を切ったのも、同じ理由でした。うまくなるための時間には、静かに締め切りがあります。

ちなみに、その残りのラウンドにいくら必要なのかも計算してみたことがあります。数えたあとしばらく、新しいクラブのページを開く気がしなくなりました。残り900回という数字を先に見てしまうと、1本のクラブであと何回打てるのかという妙な割り算が頭に浮かんできて、道具を選ぶ時間そのものが楽しくなくなってしまうので、この計算はあまりおすすめしません。

それでも私は、時間を売って生きている

夕日が差し込む電車の車内
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偉そうに書いていますが、私はいまも平日の8時間以上を、給料と引き換えに差し出しています。

これが現実です。

公務員という仕事は安定していて、辞める理由がないくらいには恵まれています。

ただ、安定と引き換えに固定されているのは、お金ではなく時間のほうなんですよね。何時に起きて、どこにいて、誰と過ごすか。それが定年まで決まっている。給料の額なら交渉や働き方で動かせる余地がまだありますが、平日の日中という一番体が動く時間帯だけは、どれだけ頑張っても自分の手元には戻ってこない。ここ数年でいちばん重く感じるようになったのは、そこでした。

だからFIREとは、残りの時間を一括で買い戻す取引だと思っています。

資産1億円は目的ではなく、時間を買い戻すための代金です。

時間を意識して、変えた3つのこと

夕焼けの高速道路
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大げさな話ではありません。日常でやっているのは、これくらいです。

まず、迷ったら時間を買うほうを選ぶこと。高速代をケチって下道を2時間走るより、料金を払って1時間で着くほうを選びます。浮いた1時間で練習グリーンに立てますから。

それから、やりたいことを前に詰めること。

「定年後に行こう」と思っていた場所を、行ける年齢のうちに前倒しする。体力がいる旅ほど先に。

最後に、健康に投資すること。健康資産の記事にも書きましたが、健康寿命を1年延ばせれば、自由な時間が1年増えます。運動と睡眠は、いちばん利回りの高い投資かもしれません。

減っていく資産のほうを、たまに数える

朝もやの山と湖
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総資産は毎月数えているのに、残り時間は数えたことがありませんでした。

今回グラフにしてみて、正直ちょっと怖くなりました。

それでも、数えてよかったと思っています。数えたから、動く理由ができた

使いきれない世界の記事で書いたとおり、お金は最後に余る可能性が高い。でも時間は、まず間違いなく足りません。

毎月の資産公開はこれからも続けます。

ただ、その数字が増えていく裏で、静かに減っているものがあることは忘れないでおきたい。1億円へのロードマップのゴールは、たぶんお金ではなく時間のほうにあります。

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