【高配当銘柄紹介】大和ハウス工業(1925) 17年間減配なし。10月の株式分割と24%減益予想をどう見るか

高配当銘柄

保有株のなかで、いま一番ややこしいことになっている1本です。

大和ハウス工業(証券コード:1925)。戸建て、賃貸住宅、マンション、商業施設、物流施設まで手がける建設・不動産の最大手です。

私の平均取得単価は3,281円。株価は4,716円まで上がって約1.4倍、簿価利回りは約5.4%になりました。

ここまでは、いい話です。

ただ、この銘柄は今3つのことが同時に起きています。17年間まったく減配していないという長所と、今期は24%の減益予想という不安と、10月に1株が2株になる株式分割。整理しないと、どう評価していいか分かりません。

調べてみます。

空から見た住宅街
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基本データ

項目数値
証券コード1925
企業名大和ハウス工業株式会社
業種建設業(住宅・商業施設・物流施設の総合デベロッパー)
株価4,716円
時価総額約3兆1,118億円
配当利回り(予想)3.77%(178円・分割前換算)
PER(会社予想)10.98倍
PBR(実績)1.00倍
EPS(予想)429.48円
BPS(実績)4,697.83円
自己資本比率34.4%
決算期3月
私の平均取得単価3,281円(簿価利回り約5.4%

どんな会社か 家も、倉庫も、ホテルも建てる

物流倉庫のラックと荷物
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「大和ハウス」と聞くと、まず戸建て住宅を思い浮かべますよね。

実際にはもう、住宅の会社ではありません。

2026年3月期の実績を並べると、こうなります。

セグメント売上比率主な中身
賃貸住宅26%アパート・賃貸マンションの建築と管理
戸建住宅24%注文住宅・分譲住宅
商業施設23%店舗・ロードサイド施設の開発と運営
事業施設21%物流施設・工場・医療介護施設
マンション5%分譲マンション
環境エネルギー2%太陽光発電など
その他0.5%ホテル・home improvementなど

いちばん大きいのは戸建住宅ではなく、賃貸住宅です。しかも上位4つが1兆円超で、ほぼ横並びになっています。

そして今期は、物流施設や工場を扱う事業施設が20%増える見込みです。ネット通販の拡大で物流倉庫の需要が伸びていて、会社の重心は住宅から施設のほうへ動いています。

ほかに賃貸住宅、マンション、商業施設、ホテル。建てて売るだけでなく、建てたあとの管理や運営でも稼ぐ形になっています。

売上は5兆円を超えていて、時価総額は3兆円。この規模になると、日本の建設・不動産では別格ですね。

配当の推移 17年間、一度も減らしていない

大和ハウス工業の1株配当の推移

この銘柄を持っている理由は、ほぼこの1枚に集約されます。

1株配当は2017年3月期の92円から、2026年3月期の175円へ。10年で約1.9倍です。

もっと長く見ると、もっとはっきりします。2010年3月期は17円でした。そこから17年、増配か据え置きだけで、減配は一度もありません。リーマンショックの後も、コロナの年も、減らさずに通してきた実績です。

2021年3月期は115円から116円へ、たった1円の増配でした。

この1円が私は好きです。据え置きでもよかったはずなのに、意地でも増やした。そういう年の記録が残っている会社は、苦しいときの振る舞いが読めます。

株主還元方針 約束の期限が、切れています

ここは隠さずに書いておきます。

会社が公表している株主還元方針は、配当性向35%以上、1株配当の下限145円。悪くない内容です。

方針内容
配当性向 35%以上親会社株主に帰属する連結当期純利益に対する比率
1株配当の下限 145円業績が落ちても、この水準を下回らない
自己株式の取得市場環境や資本効率等を勘案し、適切な時期に実施

問題は、これが第7次中期経営計画(2022年度〜)の方針だということ。

そしてその第7次中計は、1年前倒しで、2026年3月に終了しています。次の中期経営計画にひもづく新しい還元方針は、この記事を書いている時点で会社サイトに掲載されていません。

つまり、いま示されている約束は期限が切れた計画のものです。

三菱HCキャピタルのように「26期連続増配」を看板に掲げているわけでもなければ、累進配当という言葉も、DOE(株主資本配当率)という指標も、この会社は使っていません。稲畑産業が「累進配当+DOE4〜4.5%」と明記しているのと比べると、文章としての約束はずいぶん弱い

17年の実績で信用するか、書かれた約束で信用するか。この銘柄は前者の会社です。

自社株買いも同じで、方針は「市場環境や資本効率等を勘案し、適切な時期に実施する」とだけ。実際、2024年3月期は872億円、2025年3月期は1,000億円と大きく買った一方、2026年3月期はほぼゼロでした。総還元性向でいうと60%の年と31%の年が並んでいることになります。やるときはやるが、約束はしないという姿勢ですね。

業績の推移 売上は10年で1.7倍

大和ハウス工業の売上高と営業利益率の推移

売上高は3兆5,100億円から5兆9,000億円(今期予想)へ。10年で1.7倍です。

コロナの2021年3月期に一度へこんでいますが、それ以外はきれいに右肩上がり。営業利益率も8〜11%で安定していました。

「していました」と過去形なのは、今期の予想が7.8%まで落ちているからです。この話は後でします。

大和ハウス工業のROEの推移

ROEは合格ラインの8%を、10年間ずっと上回っています。

2018年3月期の16.03%がピークで、直近も12%台。今期予想は9.14%まで下がりますが、それでも8%は超えています。資本の使い方が下手な会社ではないということですね。

EPSと配当性向 方針の35%を、実際は下回っている

大和ハウス工業のEPSと配当性向の推移

EPSは304円から566円(2026年3月期)へ、10年で1.9倍。配当の伸びとほぼ同じペースです。

面白いのは下のグラフのほうでした。

会社は「配当性向35%以上」と掲げているのに、実際の配当性向は30%前後の年が並んでいます。2023年3月期にいたっては27.7%です。

ただ、これは会社が約束を破っているという話ではないようです。

会社のIR資料には「数理差異の影響を除いて算出」という注記があります。年金の会計処理による見かけ上の利益を除いて計算すると、分母が小さくなる分配当性向は上がる。会社の計算と、外から見た単純計算がずれているということですね。

とはいえ、外から見て30%なのは事実です。裏を返せば、配当を増やす余地はまだ残っているとも読めます。

直近の決算 第1四半期は増収増益、通期も上方修正

2026年8月6日に、2027年3月期の第1四半期決算が発表されました。

売上高1兆4,084億円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,306億円(同10.6%増)、経常利益1,230億円(同9.9%増)。国内の戸建て住宅が堅調で、通期の予想は上方修正されました。配当も1円増額されています。

好調です。素直に。

それなのに、通期は24%の減益予想

ここが、この銘柄でいちばん引っかかったところでした。

第1四半期が増収増益で、通期予想も上方修正されている。それなのに通期の当期純利益は約2,660億円で、前期の実績から24%の減益。EPSも566円から429円へ落ちる予想です。

四半期は伸びているのに、通期は減る。最初に見たときは数字の読み間違いかと思いました。

理由は2つありました。

ひとつは前期に一過性の利益があったこと。米国でデータセンター用地を売却した利益が前期に乗っていて、今期はその反動が出ます。会社の予想でも戸建て住宅事業の営業利益は490億円(前期比68.5%減)と、大きく落ちる見込みです。

もうひとつは建設資材の高騰です。前期に一過性の利益があった反動という点では、コマツが2年続けて減益予想を出しているのと似た形です。断熱材、塩化ビニール管、シンナー、塗料。社長が名前を挙げて「全体的に値上がりしており、商材自体も少ない」と話しています。原価が上がり、工事も遅れやすくなる。

整理すると、本業が縮んだのではなく、去年が良すぎたということですね。事業施設の営業利益は1,280億円(前期比0.3%増)と横ばいを保つ予想で、こちらは崩れていません。

それでも減益は減益です。配当を出す原資が減る年に、会社が配当を増やしてきたという事実だけは、覚えておきたいところです。

2026年10月1日、1株が2株になります

3つ目の話です。

2026年5月13日の取締役会で、1株を2株にする株式分割が決まりました。基準日は2026年9月30日、効力発生日は2026年10月1日です。

持っている株数は2倍になり、株価と1株配当は、理論上それぞれ半分になります。

資産が増えるわけでも減るわけでもありません。1万円札が五千円札2枚になるだけです。

ただ、数字の見え方はけっこう変わります。株価4,716円は2,360円くらいに、配当178円は89円くらいになる。最低購入代金も約47万円から約24万円へ下がるので、買いやすくはなります

ややこしいのが今期の配当です。

中間配当86円は分割前の株数に、期末配当46円は分割後の株数にかかります。基準が違うので単純に足せません。会社自身が「年間配当の合計は記載していない」と断っているほどです。この記事で178円と書いているのは、分割前に換算した数字になります。

10月以降、証券会社の画面で利回りや配当額を見て混乱しないように、ここだけは頭に入れておこうと思っています。

株価の動向 3,281円が4,716円になった

大和ハウス工業の株価推移(直近10年・月末終値)

この10年の値動きです。

2017年から2022年までの6年間、月末終値は2,332円から4,327円のあいだを行ったり来たりしていました。上げては戻すの繰り返しで、7年近く、ほとんど上がっていません

いちばん安かったのは2020年7月の2,332円。コロナで住宅も商業施設も止まった年です。

動いたのは2023年からでした。

2026年2月には5,643円をつけています。そこから半年で4,334円まで下げ、今は4,716円。今年に入ってからの値動きだけで1,300円ほどの幅があります。

取得単価からは約1.4倍。コマツのような派手さはありませんが、その分、配当を17年間受け取り続けてきた銘柄です。

配当利回りの推移と、今の位置

大和ハウス工業の配当利回りの推移(各年末時点)

現在の利回りは3.77%です(分割前に換算した178円ベース)。

過去9年の平均は3.20%なので、今は平均より高い位置にいます

高かったのは2022年末の4.15%、低かったのは2025年末の2.89%でした。

去年の暮れに2.89%まで下がったのは、株価が5,198円まで上がっていたからです。そこから今年の2月に5,643円まで伸びて、その後下げてきた。配当が増えたというより、株価が下がった分、利回りが戻ったというのが正確なところです。

同じ住宅大手の積水ハウスもあわせて持っていますが、あちらの利回りは4%台。並べて見ると、この3.77%は「悪くはないが飛び抜けてもいない」という位置です。高配当株として買うなら、この位置は悪くありません。ただし10月の分割で表示上の株価も配当も半分になるので、証券会社の画面で見る利回りは変わらない、という点だけ押さえておきたいところです。

予想PER(株価収益率)
10.98倍
過去のPERレンジ6.2〜34.3倍
類似企業PER積水ハウス10.2倍・住友林業13.6倍
減配実績直近17期なし
PBR(株価純資産倍率)
1.00倍
自己資本比率34.4%
ROE(27/3期予想)9.14%
還元方針配当性向35%以上・下限145円
2026年8月28日終値・2026年3月期実績ベース。配当・EPSは分割前

私がこの株を持ち続ける理由

17年の実績が、方針より雄弁だから

書かれた約束は弱い会社です。累進配当もDOEもありません。

それでも17年間、減らさなかった。リーマンショックもコロナも通過しています。配当で月20万円を目指す計画でいちばん怖いのは減配ですが、この銘柄はその心配が小さいほうです。

簿価利回りが5%を超えているから

取得単価3,281円に対して、今期の配当は178円(分割前換算)。簿価利回りは約5.4%です。

いま買うと3.77%ですから、その差は1.5ポイント。先に買っておいた分だけ、時間が利回りに変わっています。増配が続くかぎり、この差はさらに開きます。

物流施設という土台があるから

戸建て住宅は人口減少の影響を正面から受ける事業です。

その一方で、事業施設は今期20%増える見込みです。ネット通販が続くかぎり物流倉庫は要るので、住宅一本の会社よりは景色が広い。戸建住宅の利益が大きく落ちる今期に、事業施設が横ばいを保つ予想なのも、土台として機能している証拠だと思います。

リスクと注意点

青空を背にした建設現場のクレーン
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まず、次の還元方針が見えていないこと。第7次中計が前倒しで終わり、新しい方針はまだ出ていません。「配当性向35%以上・下限145円」が引き継がれるかどうかは、現時点では分かりません。

次に、自己資本比率が34.4%と高くないこと。

不動産開発は借入で土地を仕込む商売なので、業種としては普通の水準です。それでも、金利が上がる局面では利払いが重くなります。日銀の政策金利が上がっていく前提なら、ここは見ておく必要があります。

そして景気敏感であること。住宅も物流施設も、企業と家計の投資意欲が落ちれば止まります。今期の資材高騰は、その入り口のような話です。

最後に、PBR1.00倍という水準。稲畑産業の0.91倍と同じで1倍割れではありますが、こちらはほぼ1倍です。「純資産より安い」という割安さは、ほとんど残っていません

私の考え 買い増しは、分割のあとで

売るつもりはありません。

減配リスクが小さくて、簿価利回りが5%を超えている株を手放す理由が見当たらないからです。

ただ、買い増しは10月の分割を過ぎてからにします。

理由は単純で、今は判断材料が足りないからです。次の還元方針がまだ出ていない。今期の減益がどこまで実際の数字に出るかも、第2四半期を見ないと分かりません。分割で最低購入代金が半分になれば、少しずつ買い足すこともしやすくなります。

利回りでいうと、分割後で2.2%台、今の株価に直すと4.4%くらい。そのあたりまで下がってくれば、迷わず買うと思います。

まとめ

項目評価
私の簿価利回り(約5.4%)
現在の利回り(3.77%)
配当実績(17年減配なし・10年で1.9倍)
還元方針(文章としての約束)△(期限切れ・累進配当なし)
収益力(営業利益率8〜11%・ROE9〜16%)
財務(自己資本比率34.4%)△(不動産としては標準)
株価水準(PER10.98倍・PBR1.00倍)○(割安さは薄い)
ポートフォリオでの役割減配しにくい大型株。配当の土台

今期は減益、還元方針は期限切れ、10月には分割。並べると不安な材料ばかりに見えます。

それでも私がこの株を静かに持っていられるのは、17年分の配当の記録があるからです。

約束は書かれていないけれど、行動では17年間ずっと示してきた。そういう会社の見方が正しいのかどうかは、まだ答えが出ていません。次の還元方針が出たときに、答え合わせをすることになると思います。

⚠ 注意点
・本記事の株価・指標・業績・配当の数字は、2026年8月28日時点のものです。株価は同日の終値、業績と配当は直近の決算実績と会社予想に基づいています。
2026年10月1日に1株を2株とする株式分割が予定されています。記事中の1株配当・EPS・株価は、特に断りがない限り「分割前」の数字です。分割後は株価・配当ともに理論上おおむね半分になります。
・2027年3月期の年間配当は、中間配当が分割前、期末配当が分割後の基準となるため、会社は年間合計額を公表していません。記事中の178円は分割前に換算した参考値です。
・株主還元方針(配当性向35%以上・1株配当の下限145円)は第7次中期経営計画のものです。同計画は2026年3月に前倒しで終了しており、次期計画にひもづく還元方針は本記事の執筆時点で未公表です。
・直近の四半期決算は2026年8月6日に発表済みで、次回は11月上旬の予定です。最新の数字は必ずご自身でご確認ください。
・本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。私自身の保有銘柄について、投資判断の記録として書いたものです。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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