公務員としてFIRE準備を続けている私が、実際に保有している高配当株の一つが三菱HCキャピタル(証券コード:8593)です。三菱UFJ系のリース会社で、旧・三菱UFJリースと日立キャピタルが2021年に合併して誕生した、日本を代表する総合リース企業です。
平均取得単価は588円。現在の株価は1,439円と約2.45倍になり、取得単価に対する利回り(簿価利回り)は約8.7%に育ちました。

前回のINPEX(1605)は、赤字も減配も経験した「原油しだいのジェットコースター」でした。三菱HCキャピタルは、その正反対です。四半世紀以上、一度も減配せずに増配を続けてきた「増配の優等生」。私のポートフォリオで、いちばん退屈で、いちばん頼れる銘柄かもしれません。
基本データ(2026年7月時点)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 証券コード | 8593 |
| 企業名 | 三菱HCキャピタル株式会社 |
| 株価 | 1,439円 |
| 時価総額 | 約2.1兆円 |
| 配当利回り(予想) | 3.54%(51円) |
| PER(会社予想) | 12.9倍 |
| PBR(実績) | 1.04倍 |
| EPS(予想) | 111.43円 |
| BPS(実績) | 1,385.22円 |
| ROE(実績) | 8.59% |
| 決算期 | 3月期 |
PBRが1.04倍。株価が2倍以上になっても、会社の純資産とほぼ同じ値段で取引されています。派手さはありませんが、堅実さがそのまま数字に出ています。
配当の推移|四半世紀を超える「連続増配」

この会社の最大の魅力が、この配当グラフです。1株配当は2017年3月期の13円から、2027年3月期予想の51円へ。10年で約4倍。しかも、ただ増えているだけではありません。
三菱HCキャピタルは、旧・三菱UFJリース時代から数えて26期連続増配(2025年3月期時点)を続けています。花王などと並ぶ、日本でも指折りの連続増配記録です。INPEXが2020年に減配した話を前回書きましたが、この会社はリーマンショックもコロナも、一度も減配せずに乗り越えてきた。「配当を減らさない」という一点において、これ以上の実績を持つ会社は数えるほどしかありません。会社も累進配当(減配せず維持または増配)を明確に掲げています。
業績推移|合併で規模が倍増

売上高のグラフを見ると、2022年3月期にぐっと段差ができています。ここが日立キャピタルとの合併の年で、売上高が約9,500億円から1兆7,655億円へ、ほぼ倍増しました。以降も右肩上がりで、2026年3月期は2兆2,153億円です。

リース会社の強みは、事業の幅広さです。三菱HCキャピタルは、航空機、不動産、環境エネルギー(太陽光・風力)、ヘルスケア、ITなど、あらゆる分野に少しずつ資産を貸し出しています。ひとつの業界が不調でも、他の分野が支える。この分散の効いた事業構造が、リーマンやコロナでも減配しなかった底力の源です。なお、リース・金融業なので、決算では「営業利益」ではなく経常利益で見るのが一般的です(上のグラフの折れ線も経常利益率です)。
ROEとEPS|地味だが、崩れない

ROEは、コロナの2021年3月期に6.88%まで下がったものの、それ以外はおおむね8〜9%と、合格ラインの8%前後を安定して維持しています。INPEXのように赤字に転落することも、資源高で急上昇することもない。良くも悪くも、予想を裏切らない安定感です。

EPSは59円から113円へと着実に伸びています。注目は下段の配当性向で、近年は40〜43%と、会社が掲げる「配当性向40%以上」の方針どおりに推移しています。利益の伸びに合わせて、機械的に配当も増やしていく。この規律正しさが、26期連続増配という記録を生んでいます。増配が「気まぐれ」ではなく「仕組み」になっているのが、この会社の強さです。
株価の動向|10年の停滞を抜けて2.45倍

株価は長いあいだ、面白みのない動きでした。私が買った588円のライン(オレンジの点線)のあたりで、実に2016年から2022年まで、6年以上も行ったり来たり。「増配しているのに株価が上がらない万年割安株」の典型でした。
潮目が変わったのは2023年です。日本株全体の見直しと、東証の「PBR1倍割れ改善」要請を追い風に、割安に放置されていたこの株が一気に見直されました。そこから1,542円の高値まで、およそ2.5倍。私の取得単価588円からは2.45倍です。三井住友FGやINPEXと同じく、安く仕込んで、見直しの波に乗れた銘柄です。
配当利回りの推移と、いまの割安度

各年末時点の利回りをたどると、株価が停滞していた2020〜2023年は5〜6%という高利回りでした。あの時期に買えた人は、簿価利回りで一生ものの高配当を手にしています。私の8.7%も、その恩恵です。株価が2倍以上になった現在は3.54%と、過去10年平均(4.34%)を下回る水準まで落ち着きました。
指標はどれも「優等生」らしい数字です。PER12.9倍・PBR1.04倍と、割高でも割安でもない適正圏。自己資本比率15.2%は低く見えますが、これはお金を借りて他社に貸すリース業の宿命で、同業ではむしろ標準的です。26期連続増配と配当性向40%以上の方針が、この会社の背骨になっています。
私がこの銘柄を保有し続ける3つの理由
理由① 26期連続増配という「安心の重さ」
リーマンもコロナも減配せずに乗り越えた実績は、どんな美辞麗句よりも雄弁です。配当で生活費を賄うことを目指す私にとって、「この会社は、まず減配しない」と思える安心感は、利回りの数字以上の価値があります。夜ぐっすり眠れる高配当株です。
理由② 簿価利回り8.7%の「配当製造機」
取得単価588円に対して、毎年8.7%。しかも連続増配なので、この簿価利回りは来年も再来年も上がっていきます。株価がどう動こうと、私の元本に対する配当は増え続ける。持っているだけで働きが良くなっていく、高配当投資の理想形です。
理由③ 分散された事業の底堅さ
航空機、不動産、環境エネルギー、ヘルスケア。幅広い分野に資産を貸し出す事業構造は、それ自体が分散投資のようなものです。景気敏感な一面はありますが、特定の業界の不調で会社が傾くリスクは小さい。配当の持続性という点で、頼もしい土台です。
リスク・注意点
① 景気と金利に影響を受ける
リース・金融業は、景気が悪化すると貸出先の倒産(貸倒れ)が増え、業績が悪化します。金利が上がれば、自社の資金調達コストも上がる。派手に沈むことは少ないものの、景気敏感株であることは頭に入れておくべきです。
② 今から買うと利回りは3.7%
株価が2倍以上になった今、新規で買う人の利回りは3.54%で、過去10年平均を下回ります。「今すぐ高い利回り」を求める買い方には、正直もう向きません。私の8.7%は、あくまで安く買えた過去の産物です。
③ 増配ペースは利益しだい
配当性向40%以上という方針は、裏を返せば利益が伸びなければ増配も鈍るということです。26期連続増配は立派な記録ですが、「絶対に途切れない」と過信するのは禁物。記録はいつか終わるものと理解しておくのが健全です。
私の考え

三菱HCキャピタルは、話題になる派手さはありません。原油で乱高下するINPEXのようなドラマも、急成長する物語もない。ただ黙々と、毎年少しずつ配当を増やしてきただけの会社です。でも、高配当株投資で本当に大事なのは、この「退屈さ」なのだと思っています。
相場が荒れても、業界に逆風が吹いても、淡々と配当を出し続ける。そういう銘柄が数本あるだけで、ポートフォリオ全体が驚くほど安定します。私の90銘柄の中で、この会社は「守りの中心選手」です。今から買い増すには利回りが物足りませんが、相場が崩れて利回りが4%台を回復するなら、迷わず拾いたい。増配王は、安くなったときに仕込むのが鉄則です。
まとめ
| チェックポイント | 評価 |
|---|---|
| 私の簿価利回り(約8.7%) | ◎ |
| 現在の利回り(3.54%) | ○ |
| 配当実績(26期連続増配・リーマンもコロナも減配なし) | ◎ |
| 業績の安定性(分散された事業・崩れにくい) | ◎ |
| バリュエーション(PBR1.04倍・PER12.9倍) | ○(適正圏) |
| ポートフォリオでの役割 | 守りの中心選手(安定の増配株) |
三菱HCキャピタルは、「減配しない」という一点を、26年間の実績で証明してきた会社です。派手さはなくても、配当で暮らすことを目指す人にとって、これほど心強い銘柄はそう多くありません。INPEXのような資源株と、この会社のような安定増配株。性格の違う高配当株を組み合わせることが、配当で暮らすポートフォリオの肝だと、私は考えています。


コメント