「バルカー」という会社名を聞いて、何を作っているか分かる人はどのくらいいるでしょうか。私も買うまで知りませんでした。バルカー(証券コード:7995)は1927年創業、パッキンやガスケットといった「シール材」の専門メーカーです。東証プライム上場。半導体製造装置や化学プラントの現場を静かに支えている会社で、私の保有銘柄のひとつです。
私の平均取得単価は2,280円。それが6,110円まで上がって約2.7倍になり、取得単価に対する利回り(簿価利回り)は約8.8%まで育ちました。ここまで来るとは思っていませんでした。

前回の三菱HCキャピタルが「26期連続増配の安定株」だったのに対し、この銘柄は少し性格が違います。業績も株価も波がある景気敏感株。それでも私のポートフォリオに残っているのは、その波を乗り越えるだけの中身があるからです。
基本データ
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 証券コード | 7995 |
| 企業名 | 株式会社バルカー |
| 業種 | 化学(シール材・機能樹脂) |
| 株価 | 6,110円 |
| 時価総額 | 約1,142億円 |
| 配当利回り(予想) | 3.27%(200円) |
| PER(会社予想) | 12.4倍 |
| PBR(実績) | 2.01倍 |
| EPS(予想) | 493.4円 |
| BPS(実績) | 3,035.13円 |
| 自己資本比率 | 64.1% |
| 決算期 | 3月 |
| 私の平均取得単価 | 2,280円(簿価利回り約8.8%) |
株価は今年に入って大きく動きました。年初は4,000円台だったものが、8,660円の年初来高値をつけ、そこから調整して現在は6,110円。値動きの荒い展開が続いています。
どんな会社か 「見えない部品」の専門メーカー

バルカーの主力はシール製品です。パッキン、ガスケット、Oリング。機械のつなぎ目から気体や液体が漏れないよう封じ込める、表には出ませんが欠かせない部品です。
用途を見ると、この会社の立ち位置がよく分かります。半導体製造装置、化学プラント、電気・電子機器、自動車、真空機器、食品、発電プラント、航空機。どれも「絶対に漏れてはいけない」現場ばかり。ふっ素樹脂や高機能ゴムといった素材から自社で設計・製造しているのが強みです。
シリコンウェーハの再生事業も手がけていて、半導体との縁はかなり深い会社です。売上規模は連結で約586億円(2026年3月期)ですから、決して大きくはありません。それでも、代わりが見つかりにくい部品を作っている会社は強い。これは高配当株を選ぶときに、私がいちばん気にしている点です。
配当の推移 4年据え置きから、一気に増配予想

1株配当は2018年3月期の85円から、2027年3月期予想の200円へ。10年で約2.4倍です。
ただ、きれいな右肩上がりかというと、そうではありません。2021年3月期には100円から95円へ減配しています。コロナ禍で業績が落ちた年ですね。連続増配記録を売りにする三菱HCキャピタルとは、ここが決定的に違うところです。
そして2023年3月期に150円へ到達したあとは、4年連続で150円の据え置き。業績が振れても配当を維持してきた形です。それが2027年3月期は一気に200円へ増配予想。据え置きの我慢の後に、大きな一歩が出た形です。
業績の推移 波はあるが、利益率は二桁圏

売上高は2023年3月期の622億円をピークに、2026年3月期は586億円まで緩やかに下がっていました。それが2027年3月期は690億円で過去最高の見込みです(後述の上方修正後の数字)。
注目したいのは営業利益率です。コロナ禍の2021年3月期に7.8%まで落ちたあと、13〜14%台まで回復。2027年3月期予想は15.9%と、この10年でいちばん高い水準まで来ました。売上の伸び以上に利益率で稼げる会社になってきています。素材から自前で作るメーカーの強みが出ているところです。

ROEは10期すべてで合格ラインの8%を上回っています。景気敏感株なのに、いちばん悪い年でも8.67%を確保している。これは素直にすごい数字だと思います。2027年3月期は15%台まで伸びる計算で、過去10年で最高の水準です。
EPSと配当性向 還元方針は「50%」

会社の株主還元方針は明快で、株主還元性向50%が目標です。これは「配当金の総額+業績に基づく自己株買いの額」を純利益で割った数字。つまり稼いだ利益の半分を株主に返すという考え方です。
配当性向の実績は39〜60%のあいだを行き来しています。EPSが落ちた年は配当を維持したので配当性向が上がり(2020年3月期60%)、EPSが伸びた年は下がる。利益に振り回されず配当を守ってきた跡が、この線の上下に残っています。
2027年3月期はEPS493.4円に対して配当200円で、配当性向は約40%。方針の50%にはまだ余裕があり、ここから追加の増配や自己株買いが出る余地が残っています。
【追記】第1四半期決算で、通期予想が上方修正されました
この記事を書いた直後に第1四半期決算が発表され、あわせて通期予想が上方修正されました。数字がまるごと変わったので、追記しておきます。
第1四半期の実績は、売上高が前年同期比23.2%増、営業利益は65.2%増の29.7億円。営業利益率は12.9%から16.9%へ跳ね上がりました。
| 2027年3月期の通期予想 | 修正前 | 修正後 |
|---|---|---|
| 売上高 | 650億円 | 690億円 |
| 営業利益 | 90億円 | 110億円(+22%) |
| 純利益 | 71億円 | 87億円(+23%) |
| EPS | 402.6円 | 493.4円 |
| 配当 | 200円 | 200円(変更なし) |
4期ぶりの過去最高益の更新が見えてきました。配当は200円のまま据え置きですが、利益が増えた分、配当性向は50%の方針に対して40%まで下がっています。つまり増配の余力が生まれたということです。期末に向けての増配や自己株買いを、少し期待して待つことにします。
株価の動向 取得単価の2.7倍に

10年チャートを見ると、2019年から2021年までは2,000円台で長く停滞していました。私の取得単価2,280円は、ちょうどこの停滞期と同じくらいの水準です。
動き出したのは2022年後半から。2024年に5,000円台をつけたあと一度3,000円台まで戻し、今年に入って急騰。月末終値でも8,200円まで到達しました。
半導体製造装置向けという事業構造を思えば、この値動きは半導体サイクルへの期待と不安をそのまま映したもののようです。原油価格に振られるINPEXと同じで、外部環境で株価が大きく動く銘柄だと割り切って持つ必要があります。
配当利回りの推移と、今の割安度

各年末時点の利回りをたどると、株価が停滞していた2020〜2022年は4.6〜5.7%の高利回りでした。あの時期に買えた人は、簿価利回りで一生ものの高配当を手にしています。私の8.8%も、要するにその時期の恩恵にすぎません。腕ではなく、タイミングです。
株価が2.7倍になった現在の利回りは3.27%。過去9年の平均(4.19%)を大きく下回る水準まで下がりました。
PER12.4倍は、この会社の過去のレンジ(10〜15倍程度)の中ほどです。同業の日本ピラー(21.5倍)と比べればかなり低い。上方修正で利益予想が上がった分、株価は上がっているのにPERは下がりました。数字の上では、決算前より買いやすくなっています。
財務のほうは安心して見ていられます。自己資本比率64.1%、営業キャッシュフローは10期以上ずっと黒字。景気敏感株でこの守りの堅さは、けっこう心強いです。
私がこの株を持ち続ける理由

理由① 簿価利回り8.8%の「配当製造機」
取得単価2,280円に対して年200円の配当。この1本だけで簿価利回り8.8%です。株価がいくら上下しても、私の元本に対する配当利回りは変わりません。株価が半分になっても、減配がなければ配当はそのまま入ってきます。
この感覚は、三井住友フィナンシャルグループの記事でも書いたとおりです。安く買った1株は、時間が経つほど働きが良くなる。
理由② 利益率が上がってきている
売上が横ばいでも営業利益率が13%台まで戻ってきた。ここが持ち続ける根拠です。数量ではなく中身で稼げる会社は、次の景気の谷でも致命傷を負いにくい。ROEが10期連続で8%超という数字も、それを裏づけています。
理由③ 半導体という長期テーマに、少し違う角度から乗れる
半導体そのものの会社は値動きが激しすぎて、私には手が出ません。でも製造装置に使われるシール材なら、テーマの恩恵は受けつつ、化学・自動車・食品・発電といった別の柱もある。景気敏感株ではありますが、1本足打法ではないところが気に入っています。
リスクと注意点
① 半導体サイクルの影響が大きい。設備投資が止まれば、装置向けの需要も止まります。2026年の急騰は期待が先行した面もあり、期待がはがれたときの下げも速いはずです。
② 減配の実績がある。2021年3月期に減配しました。「連続増配だから安心」という買い方はできません。業績が崩れれば配当も動きうる銘柄です。
③ 今から買う人の利回りは3%。株価が2.7倍になった今、新規の利回りは3.27%で、過去平均を下回ります。「今すぐ高い利回り」を求める買い方には向きません。
④ 上方修正は「予想」です。第1四半期は好調でしたが、通期の数字はあくまで会社の見通しです。半導体向けの需要が反転すれば、下方修正もありえます。
私の考え 「売らない」が答え
含み益は取得単価の約2.7倍。ここで売れば、それなりの利益が確定します。それでも売りません。
理由は単純で、私が欲しいのは売却益ではなく、毎月の配当だからです。配当で月20万円という設計図に向かって積み上げている途中で、簿価利回り8.8%の銘柄を手放す理由がありません。売った瞬間に、この利回りは二度と手に入らなくなります。
もし今の株価水準で買い増すかと聞かれたら、答えは「待つ」です。利回りが4%台を回復する場面が来れば、迷わず拾いたい。景気敏感株は、安くなったときに仕込むのが鉄則だと思っています。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 私の簿価利回り(約8.8%) | ◎ |
| 現在の利回り(3.27%) | △(過去平均4.19%を下回る) |
| 配当実績(10年で2.4倍・ただし2021年3月期に減配) | ○ |
| 収益力(営業利益率15.9%予想・ROE10期連続8%超) | ◎ |
| 財務(自己資本比率64.1%・営業CF黒字継続) | ◎ |
| 株価水準(PER12.4倍・PBR2.01倍) | ○(上方修正で見直しの余地) |
| ポートフォリオでの役割 | 景気敏感株(半導体・化学の成長を取る役) |
機械のつなぎ目を静かに支えている会社。値動きが穏やかで、持っていることを忘れているあいだに配当だけが積み上がっていく。私にとっては、そういう銘柄です。こういう会社が、いちばん長く付き合えるのかもしれませんね。
・本記事の株価・指標・業績・配当の数字は、すべて執筆時点のものです。株価は直近の終値、業績と配当は直近の本決算実績と会社予想に基づいています。
・執筆の直後に四半期決算の発表が控えており、その内容によって会社予想や各指標は変わります。最新の数字は必ずご自身でご確認ください。
・配当は業績によって減配される可能性があります。実際にこの銘柄は過去に減配した実績があります。
・本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。私自身の保有銘柄について、投資判断の記録として書いたものです。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。


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