今回は、たぶんこのブログでいちばん知名度の低い会社です。日本電技(証券コード:1723)。名前だけでは何をしているか、まず分かりません。
やっていることはビルの空調を「測って、制御する」仕事です。オフィスビルや工場、病院の空調が、暑すぎず寒すぎず、無駄な電気を使わずに動いているのは、こういう会社が裏側を作っているからです。

私の平均取得単価は537円。株価は2,335円まで上がって約4.3倍、簿価利回りは約10.4%になりました。保有株のなかでも、いちばん地味で、いちばん化けた1本です。
基本データ
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 証券コード | 1723 |
| 企業名 | 日本電技株式会社 |
| 業種 | 建設業(ビル空調の計装工事) |
| 株価 | 2,335円 |
| 時価総額 | 約1,530億円 |
| 配当利回り(予想) | 2.40%(56円) |
| PER(会社予想) | 17.1倍 |
| PBR(実績) | 3.16倍 |
| EPS(予想) | 136.51円 |
| BPS(実績) | 738.84円 |
| 自己資本比率 | 76.7% |
| 決算期 | 3月 |
| 私の平均取得単価 | 537円(簿価利回り約10.4%) |
※2025年1月に1株→2株、2026年4月に1株→4株の株式分割がありました。この記事の株価・配当・EPSは、すべて2回の分割を調整した現在の基準に揃えています。
どんな会社か|ビルの「体温調節」を作る

主力はビル空調の計装工事です。温度センサーやバルブ、制御盤を設計・設置し、建物全体の空調を自動でコントロールする仕組みを作ります。アズビル(旧・山武)の代理店として長く実績を積んできた会社です。
地味ですが、この事業には強い特徴が2つあります。
ひとつはストック型の収益。一度入れた設備は、点検・更新・改修がずっと続きます。建てて終わりではなく、建物が生きているかぎり仕事が続く構造です。
もうひとつは省エネ需要。電気代の高騰と脱炭素で、ビルの空調をいかに効率よく動かすかは経営課題になりました。ここが直近の業績を押し上げています。
配当の推移|10年で5.8倍

1株配当は2018年3月期の9.6円から、2027年3月期予想の56円へ。10年で5.8倍です。
ただし正直に書くと、2022年3月期に15.6円から14.3円へ減配しています。売上が落ちた年で、配当性向を約30%に保つ方針だったため、利益に連動して配当も下がりました。連続増配を売りにする三菱HCキャピタルとは、ここが違います。
そして直近が面白い。2026年3月期の40円から2027年3月期は56円へ40%の増配予想。利益の伸びは3%程度なのに、配当だけが大きく増えます。理由は次の章に出てきます。
業績の推移|営業利益率が10%から25%へ

この会社のすごさは、売上ではなく利益率に出ています。
売上高は272億円から515億円(会社予想)へ、10年で約1.9倍。堅実ですが、爆発的ではありません。ところが営業利益率は10.2%から25.4%まで上昇しました。建設業でこの利益率は異例です。
省エネ改修という付加価値の高い仕事が増え、価格競争から抜け出せたことが効いています。同じ「建設業」に分類される会社でも、中身はまるで違うということですね。

ROEは10期すべてで合格ラインの8%を超え、直近は18%台。しかも自己資本比率76.7%という、借金にほとんど頼らない財務でこの数字です。借入で見かけのROEを上げているわけではありません。
EPSと配当性向|方針が変わった

配当性向を見ると、この会社の性格の変化がはっきり分かります。
2018年から2026年まで、配当性向はほぼ30%で一直線でした。利益の3割を配当に回すという分かりやすい運用です。
それが2027年3月期は41%へ跳ね上がります。会社が還元方針を「配当性向40%以上、またはDOE7%以上」に引き上げたためです。株主に返す割合そのものを増やしにきたわけで、この変化は増配の持続力にとって大きい。
DOE(株主資本配当率)は、利益ではなく自己資本に対して何%配当するかという指標です。利益が一時的に落ちても配当が下がりにくくなるので、高配当株としては歓迎できる方針です。
株価の動向|10年で11倍、そして3割の急落

チャートを見ると、2016年の205円から現在の2,335円まで、10年で約11倍になっています。私の取得単価537円(オレンジの点線)は、2021年前後の水準です。
ただし直近の動きは激しい。2026年1月から2月にかけて月末終値で3,047円まで急騰したあと、そこから3割以上下げて現在の水準です。年初来高値は3,148円、安値は1,952円。1年の中で株価が1.6倍も違うことになります。
時価総額1,352億円の小型株なので、値動きはどうしても荒くなります。日本特殊陶業のような大型株とは、揺れ方の質が違うと考えておくべきでしょう。
配当利回りの推移と、いまの割安度

各年末の利回りをたどると、2022年末には4.89%という高利回りの時期がありました。株価が下がり、配当は維持された年です。
現在の利回りは2.40%で、過去9年平均(3.35%)を下回ります。株価が11倍になった以上、当然といえば当然です。いま買う人にとっては、高配当株というより成長株に近い性格になっています。
財務は文句なしです。自己資本比率76.7%、営業キャッシュフローは10期以上ずっと黒字で、直近は110億円と過去最高。借金に頼らず、稼いだ現金で回っている会社です。
私がこの株を持ち続ける理由

理由① 簿価利回り10.4%の小型優良株
取得単価537円に対して年56円。この1本で簿価利回り10.4%です。しかも配当は来期40%増える予定なので、放っておいても利回りが上がっていく。高配当投資でいちばん報われる形になっています。
この感覚は三井住友フィナンシャルグループやバルカーと同じです。安く買えた1株は、時間が経つほど価値が増していく。
理由② 利益率とROEが本物
営業利益率25%、ROE18%、自己資本比率77%。この3つが同時に成り立つ会社は、そう多くありません。値下げ競争をしていない証拠であり、この会社の技術が評価されている証拠でもあります。
理由③ 省エネという長期テーマに乗れる
電気代は簡単には下がりません。建物の省エネ改修は、これから10年単位で続く需要です。派手なテーマではありませんが、必ず必要とされる仕事という安心感があります。
リスクと注意点
① 値動きが荒い。小型株なので、1年で株価が1.6倍も動きます。急騰したあとの下落幅も大きく、精神的な負担は決して小さくありません。
② 減配の実績がある。2022年3月期に減配しました。利益連動の配当だったためです。新しい方針で下支えは強くなりましたが、「絶対に減らない」とは言えません。
③ 今から買う人の利回りは2.7%。過去平均を下回り、高配当株としては物足りない水準です。私の10.4%は、あくまで安く買えた過去の産物です。
④ 建設需要と人手不足の影響を受ける。建物の新築・改修が減れば仕事も減ります。工事を担う技術者の確保も、業界共通の課題です。
私の考え|売らない。買い増しは待つ
取得単価の4.3倍。この銘柄も、売れば大きな利益が出ます。それでも売りません。
理由はいつもと同じです。私が欲しいのは売却益ではなく、毎月の配当だから。配当で月20万円という設計図の途中で、簿価利回り10.4%の銘柄を手放す理由がありません。
買い増しについては「待ち」です。利回りが3.5%を超える場面、株価でいえば1,600円あたりまで下がってきたら考えます。値動きの荒い銘柄は、荒さを味方にできる価格まで待つのが鉄則だと思っています。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 私の簿価利回り(約10.4%) | ◎ |
| 現在の利回り(2.40%) | △(過去平均3.35%を下回る) |
| 配当実績(10年で5.8倍・2022年3月期に減配1回) | ○ |
| 収益力(営業利益率25%・ROE18%) | ◎ |
| 財務(自己資本比率76.7%・営業CF黒字継続) | ◎ |
| 株価水準(PER17.1倍・PBR3.16倍) | △(安くはない) |
| ポートフォリオでの役割 | 小型の成長+増配。値動きは荒い |
名前を知らない会社の株を、気づけば10年近く持っていました。派手な話題になることはありませんが、ビルの空調が静かに動いているかぎり、この会社の仕事はなくならない。そういう銘柄を持っている安心感が、私は嫌いではありません。
・本記事の株価・指標・業績・配当の数字は、すべて執筆時点のものです。株価は直近の終値、業績と配当は直近の本決算実績と会社予想に基づいています。
・株価・1株配当・EPSは、2025年1月(1株→2株)と2026年4月(1株→4株)の株式分割を調整した基準で表示しています。
・直近の四半期決算は2026年7月24日に発表済みで、次回は10月下旬の予定です。最新の数字は必ずご自身でご確認ください。
・還元方針は会社の方針であり、将来の配当を保証するものではありません。過去に減配した実績があります。
・小型株のため値動きが大きく、流動性も大型株に比べて低い点にご注意ください。
・本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。私自身の保有銘柄について、投資判断の記録として書いたものです。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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